昨年12月に国立社会保障・人口問題研究所から最新の市町村別の将来予測人口推計が発表されました。推計によると2035年の江別市の将来推計人口は10万7283人、65歳以上人口比率は36.2%となり、これまで一貫して増加していた人口が減少局面を迎えることになります。
●将来予測人口とは?
日本の将来予測人口は、5年に一度の国勢調査に基づいて国立社会保障・人口問題研究所が推計し発表するものです。全国のデータに加え順次、都道府県別、市町村別のデータが公表されます。これらのデータは公的年金の将来見通しの財政計算に使われるなど、様々な場面で利用されています。
推計方法は、人口変動要因である出生、死亡、国際人口移動について仮定を設け、各年齢毎の人口の変化を計算していく手法が用いられています。
全国の推計では出生、死亡の仮定について何パターンかありますが、都道府県別、市町村別では、全国の中位推計に一致するように計算されており、合計特殊出生率の仮定は、2013年に1.21まで下がった後、2055年に1.26まで上昇するというものになっています。
参考情報
●全国と北海道の将来予測人口
2005年現在、1億2777万人である日本の人口は、2035年には1億1068万人、65歳以上人口比率33.7%となります。
国立社会保障・人口問題研究所によると、「2005年の国勢調査によれば、2000年から2005年にかけて既に32道県で人口が減少している。今回の推計によれば、人口が減少する都道府県は今後も増加を続け、2010年から2015年にかけては42道府県、2020年から2025年にかけては沖縄県を除く46都道府県、2025年以降はすべての都道府県で人口が減少する。また、2035年時点で2005年と比べ人口が増加しているのは、東京都と沖縄県のみである。」とされています。
北海道は、2005年現在、563万人の人口が2035年に441万人、65歳以上人口比率37.4%となります。2005年から2035年までの30年間での人口減少率は、全国が13.4%なのに対し、北海道は21.5%と大きな開きがあります。また、北海道内における石狩管内の人口割合は41%から48.6%となります。
全国人口に占める北海道の人口割合も2005年の4.8%から2035年に4.0%に低下します。尚、この間の東京都の人口割合は9.8%から11.5%に達し増加幅が最も大きい都道府県となっています。また、同じく首都圏一都三県の人口割合は27%から29.8%となり、改めて全国に占める首都圏の大きさが認識される推計になっています。
都道府県、市町村レベルでは大きく人が移動することはありますが、日本全体で見ると、国際人口移動を除き既に生まれている人が増えることはあり得ません。
また、これからは子どもを生む世代の人口が徐々に減ってきますので、仮に様々な対策により出生率が上がったとしても、今後生まれてくる子どもの数の減少は避けがたいものです。
従って、日本の人口ピラミッドが今後30年間でグラフのように推移していくこと自体は、ほぼ確実にやってくる未来と言えます。
●江別市の将来予測人口
では、江別市の人口はどうなるのでしょうか。
2005年現在、12万5601人である江別市の人口は、2035年には10万7283人となると推計されています。
この間、65歳以上人口比率は17.9%から36.2%と倍以上に増加する一方、年少人口(0〜14歳人口)比率は13.8%から7.6%へと大きく減少します。
実数では、年少人口が17374人から8205人へ、65歳以上人口が22481人から38814人へ、生産年齢人口(15歳〜64歳人口)が85743人から60262人となります。
2005年現在の江別市の人口の特徴としては、市内に4大学2短大が集中しているため、10代後半から20代前半の人口が極端に多くなっていることに加え、55歳〜59歳の団塊世代が多いのは全国の傾向と一致しますが、全国的には団塊世代の次に人口が多いはずの30〜34歳の団塊ジュニア世代が少ないことがあげられます。
2035年における高齢者数の増加は人口ピラミッドのグラフにすると驚くべきものです。尚、生産年齢人口は全国や北海道と比較すると江別市は異なった形をしておりますが、これは必ずしも正しい推計とは言えない面があります。
江別市の場合、注意しなければならないのは学生の人口が極端に多いため、その年代が出入りする人口移動を推計するのが難しく将来推計の数値に少なからず影響を与えています。現実には大多数の学生は卒業後移動するので、江別市の将来の生産年齢人口の人口ピラミッドの形も北海道のものと似通ってくると推察されます。
また、10代後半から20代前半の女性の人口は出生数に影響を与えることになりますが、江別市の場合その多くが学生であるため見かけの人数に比べると出生数に影響を与えることは少なく、将来の出生数が多めに推計されていると想定されます。
しかしながら、大まかに言って今後30年で、人口減少局面となること、高齢者数が倍増し、子どもの数が半減すること、生産年齢人口が2/3程度になることは推計から見てとれます。
●不都合な真実
江別市の2005年から2035年までの5年毎の人口推移のグラフを改めて作成しますと、高齢者数の増加に比べて生産年齢人口と子どもの数の減少は驚くべきものと言えます(グラフはこちら)。
江別市に限った話ではないですが、将来人口の推計は、最も不都合な真実と言えるものではないでしょうか。
一人当たりの所得が減るわけでなければ、人口減少社会それ自体は問題ないという意見もありますが、生産年齢人口の減少は消費や税収に影響を与える一方、高齢者数の増加は年金、医療、介護などの社会保障費に影響を与えますので、それに応じた経済や社会の仕組みを如何に作り上げていくかは、やはり大きな課題です。
では、どうすれば良いのか?については、日本の急激な生産年齢人口の減少とそれと比較した高齢者数の増加は、世界で初めて直面する状況と言っても良いため、誰も明確な答えを持っているわけではないのですが、一般的には次のことが言えると思います。
労働力人口の減少を補うため、高齢者及び女性の労働力のこれまで以上の活用。将来人口推計では平均寿命は男性84歳、女性90歳まで伸びると仮定されており、60代で現役引退は早すぎる時代になると言えます。高齢者の就労意欲も非常に高く、経験と能力を活かして働き続けられる環境を整える必要があります。
また、結婚・出産に伴う女性の離職や退職は、経験も能力もある人材が労働市場から退出することになり、労働力確保の面では非常にマイナスです。男性の家事・育児参加が少ない、都市部で保育園が不足しているなど課題も多く、こちらも環境を整える必要があります。
子どもの能力を最大限伸ばす教育。いつの時代も変わりませんが、人材への投資こそが最も重要です。全体として子どもの数は減っていっても、その分より良い教育を子どもが受けられるようにして、個々人の能力を最大限に発揮できるようにしていく必要があります。
地方において働いている若者が能力を発揮できる環境整備。どんな分野でも地元に残って働いている若者というのは大変貴重な人材になってきます。このような若者が自分の力を最大限発揮できる地域と、そうでは無い地域とでは同じ地方の中でも地域の活力の格差が広がっていくと考えられます。若者が積極的にチャレンジできる環境や、それをサポートできる仕組みづくりというのが重要と言えます。