2011年は4年に一度、全国で一斉に地方選挙が行われる統一地方選挙の年となっています。北海道の場合、知事選挙・北海道議会議員選挙・札幌市長選挙・札幌市議会議員選挙を始めとして、多くの市町村において首長選挙・市町村議会議員選挙が行われます。
都市部の地方選挙においては投票率低下の傾向は顕著となっており、投票に行きましょうというキャンペーンはよく見られます。しかしながら、我々の持っている権利というのは、選挙権(選挙に参加する権利)だけではなく、被選挙権(選挙で選ばれる権利)もあることは実はあまりPRされません。
●統一地方選挙って何?
地方自治体の首長や議会の議員の選挙を全国的に日程を統一して行っているものです。昭和22年(1947年)から4年ごとに行われており、今年が17回目となります。
日程を統一して行うことで、有権者の選挙への関心を高め、また選挙事務の円滑な執行や費用の節減を図ることができると考えられています。
選挙は4月に行われ、上旬(今回は4/10)に知事や政令市の市長と都道府県と政令市議会の選挙が、下旬(今回は4/24)に政令市以外の市町村の首長・市町村議会の選挙が行われます。
首長・地方議会議員の任期は4年なので、任期途中での辞任や解散などがない限り全国一斉に行われるはずなのですが、市町村合併などの影響があり今回の統一率は28.99%となっており、実はあまり統一されていません。
(参考情報)
総務省「平成23年統一地方選挙執行予定団体に関する調(22.12.1現在)」
しかしながら、北海道においては合併がほとんどなかったこともあり、知事選挙・北海道議会議員選挙・札幌市長選挙・札幌市議会議員選挙を始めとして、道内179の市町村のうち49の市町村で首長選挙が、128の市町村で市町村議会議員選挙が行われる予定です。江別市も市長選挙と市議会議員選挙が統一地方選挙で行われる予定となっています。
●選挙に行ってますか?
「日本は国民が主権を持つ民主主義国家です。選挙は、私たち国民が政治に参加し、主権者としてその意思を政治に反映させることのできる最も重要かつ基本的な機会です。選挙に関する規定を定めた公職選挙法は、日本国憲法第15条で明記されている「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する」という憲法の精神にのっとっています。」
と総務省のホームページでは選挙の意義が紹介されています。
(参考情報)
総務省「選挙の意義」
しかしながら、衆議院選挙はまだしも、地方選挙の投票率というのは、一貫して低下傾向にあります。
江別市においても昭和34年4月に行われた市長及び市議会議員選挙は91.09%(江別市の過去の選挙における最高投票率)だったのですが、前回の平成19年の市議会議員選挙(市長選挙は無投票)では58.55%となっています。
(参考情報)
総務省「目で見る投票率」
江別市過去の選挙の結果
各自治体では投票率向上に向けて、明るい選挙のイメージキャラクターとして「選挙のめいすいくん」をつくったり、東京都知事のイメージキャラクターにアイドルグループを起用したりと様々な手法を使っていますが、目に見えた効果というのはなかなか難しいものがあります。
●選挙で選ばれる権利
「関心がない」、「投票したい人がいない」、「どうせ良くならない」、「一票では変わらない」などなど投票に行かない理由はいろいろあると思われます。
しかしながら、そういう方々でも国や地域を良くしていきたい、社会の問題を解決したいと考えている人は決して少なくないのではないでしょうか。
選挙では、「あなたには投票する権利があります」、「棄権せずに投票に行きましょう」という話はいつも出てきますが、「あなたにも立候補する権利があります」、「社会の問題を解決したいなら政治に主体的に関わることもできます」という話はあまり聞いたことがありません。
日本国憲法第15条で明記されている「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する」にある普通選挙は、何も選挙権だけの話ではなく、被選挙権も含まれているのです。
この憲法の精神にのっとって、選挙に関する規定を定めた公職選挙法第10条では、被選挙権が次のように定められています。
第十条 日本国民は、左の各号の区分に従い、それぞれ当該議員又は長の被選挙権を有する。
一 衆議院議員については年齢満二十五年以上の者
二 参議院議員については年齢満三十年以上の者
三 都道府県の議会の議員についてはその選挙権を有する者で年齢満二十五年以上のもの
四 都道府県知事については年齢満三十年以上の者
五 市町村の議会の議員についてはその選挙権を有する者で年齢満二十五年以上のもの
六 市町村長については年齢満二十五年以上の者
2 前項各号の年齢は、選挙の期日により算定する。
都道府県議会議員と市町村議会議員のその選挙権を有する者というところが分かりにくいですね。市町村議会議員選挙の選挙権は、「日本国民たる年齢満20年以上の者で引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有する者は、その属する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。」とあり、一般的には選挙の始まる前日までに継続して3ヶ月以上その自治体に住んでいれば良いということになっています。
今回のケースですと、道議会選挙が昨年の12/31から、市議会選挙が1/16から同じ自治体に住んでいれば良いことになります。道議会議員選挙の場合は、北海道内であればこの期間に1回だけ引っ越していても大丈夫です。
ようするに地方議会議員であれば、その街に3ヶ月以上住んでいて25歳以上であればOKなわけです。市町村長なら25歳以上であればどこに住んでいてもOKです。
あなたも選挙に出られるわけです。
●でも、選挙ってお金掛かりませんか?
国政選挙や都道府県の知事・議員の選挙であれば選挙区も広くなりますので、やはりそれなりのお金が掛からざる得ないところですが、一般の市町村議会議員の選挙であれば、どこまでお金を掛けるかはその人次第とも言えます。
選挙に出ることについては、売名や選挙の妨害など不正な目的を持った立候補を抑制する目的で供託金という制度が設けられています。一定の金額を法務局に預け、選挙後に返還されます(一定の得票数に達しないと没収されます)。
国政選挙だと300万円から600万円、都道府県知事300万円、都道府県議会議員60万円、政令市の市長240万円、政令市議会の議員50万円、市長100万円、市議会の議員30万円、町村長50万円、町村の議会の議員なし、となっており、かなりの金額です。
注)供託金制度のある国はいくつかありますが、先進諸国で日本ほど高額な供託金を求める国はありません。
では、その他の選挙に関する費用はどの位掛かるのでしょうか。選挙に関する費用には選挙の種類によって上限額が決められています。その自治体の有権者数によって変わるものですが、前回の平成19年の場合、江別市において市長選挙で約1150万円、市議会議員選挙で約404万円となっています。
選挙に関して掛かった費用については、選挙管理委員会に収支報告を行わなければいけません。収支報告書は3年間保存され誰でも閲覧することができます。
江別市の前回の市議会議員選挙における収支報告を見ると、平均で約130万円の支出となっています。支出のうち、自動車レンタル、ガソリン、運転手、ポスターに関する費用は最大約66万円まで公費にて負担されます。更に、支出の中には、ボランティアで手伝っていただいた方についても一日一万円の無償の労務提供を受けたとして費用を計上することになっています。
従いまして、これらを差し引くと一般のイメージほどには選挙に関する費用は掛かっていないのではないでしょうか?
やっぱり、あなたも選挙に出られます。
●政治家としての生活設計は?
自分で会社を経営されている方(自営業・農業を含む)、主婦の方、リタイアされている方などについてはそれほど問題はないかと思いますが、会社員の方が仕事を続けながら政治家となるのは現状の制度では非常にハードルが高いです。
議会の日程だけを見ても、最低でも年間40日から60日程度はありますので、これだけの時間の都合をつけられる会社員はいないでしょう。となると会社員が選挙に出る場合、仕事を辞めなければいけなくなります。
そうなると生活していけるのかと言う問題が出てくるわけです。大きな都市を除き、道内の市町村議会議員の報酬というのは決して高くはなく、30代・40代でバリバリ働かれており、しかもお子さんを含めたご家族がいらっしゃる場合、仕事を辞めた場合のその後の生活は大変厳しいものになると予想されます。
実は、選挙それ自体よりも会社員が選挙に出ようとする場合、その後の生活の問題が最大のネックとなります。
うーん、あなたもそう簡単には選挙に出られないでしょうか?
●それでも、あなたも選挙に出られます
北海道においては、首長選挙でさえも無投票が多く、市町村議会議員のなり手も少なくなってきているのが現状です。
しかしながら、住民の代表である議員の構成が年齢・性別・職業などで一般社会とかけ離れてしまうのはやはり問題ではないでしょうか。30代、40代で会社員として働いている(いた)層というのがもう少し政治に主体的に関わる必要があると考えます。
全体から見ると少数ではありますが、平成15年と平成19年の統一地方選挙でこのような層というのも増えてはきています。
意思と覚悟もあるけれど、これまで特に政治の世界とは関係がなく、選挙や議員・議会活動について分からないことが多く迷われている方がいらっしゃいましたら、ご相談にのることもできます。
選挙は厳しいですが、政治に主体的に関わるということは、やりがいも、夢もある、すばらしい仕事です。
それでも、あなたも選挙に出られるのです。